砥石屋から世界トップ企業へ !半導体装置メーカー「ディスコ」の独自戦略に迫る

ディスコ

日本の半導体製造装置業界では東京エレクトロンやアドバンテストがよく知られますが、ディスコはまた異色の存在です。

1937年に広島県で工業用砥石の製造販売からスタートした同社は、創業者・関家一馬の祖父による「第一製砥所」がその原点でした。1960年代後半には海外進出を視野に入れ、英文社名「Dai-Ichi Seitosho Co., Ltd.」の頭文字から「DISCO」と名付けてブランドを確立。

1970年代には精密切断装置、半導体用ダイシングソーの開発に踏み切り、1977年に社名も「ディスコ」へと変更しています。砥石メーカーから半導体ウェーハを切る(ダイシングソー)・削る(グラインダ)・磨く(ポリッシャ)装置を手がける精密加工装置メーカーへと転身し、海外拠点を次々と設立していきました。

現在のディスコは、半導体デバイスや電子部品の製造工程で使われるダイシング装置(ダイシングソーやレーザソー)と研削装置(グラインダ等)で世界シェアがそれぞれ7〜8割、6〜7割。装置に装着する精密ブレードや研削ホイールなど消耗品(精密加工ツール)も自社製造・販売し、保守サービスも含めたトータルソリューションを提供するビジネスモデルも特徴です。

近年の業績拡大は目覚ましく、2025年3月期の売上高は3,933億円、経常利益は1,689億円へと躍進しました。高い収益性は、東京エレクトロンやアドバンテストの水準も上回ります。半導体製造装置メーカーとしては中堅規模ながら、ディスコはニッチトップ戦略と収益力で存在感を発揮しているのです。

“無償テストカット”が生む顧客ロックイン

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